トラックメイキングはデジタル写経だ。

ひさびさにトラックメイキングしてみた。

ベッドルームトラックメイカーなので、気分が乗ったときくらいしかやらないんだけど、こうやって曲作りをはじめると、あっという間に週末が終わってしまう。

一日だけのつもりが丸二日引きこもってしまった。

いつも思うんだけど、僕にとってのトラックメイキングって、曲作りというよりは写経に近くて、いい音楽を聴くと、それがどんな風に作られているのか? その真理に近づきたくてまず意味わからないまま、写経してみる感じ。

般若心経のように教典を作るなんてもってのほかで、「色即是空」のワンループを永遠に繰り返し書き直しているみたいに、もう形にならない模写をどれほど書いたか。

それでも、音という見えない世界を可視化してくれるデジタル音楽のインターフェイスは、音の深遠なる世界の扉のようで、本当にワクワクする旅に連れて行ってくれる。

見えない音を広げたり、深めたり、時に歌わせたり、コンピューター音楽は自分の思うようにできるように見えて、実は、思い通りできない葛藤に苦しみながら、なんとか寝技に持ち込もうと鍛錬しているような、そんな世界。

このトラックも作ってみると、全然キックが歌ってないし、ベースが音割れているし、全体的にイコライジングが整ってなくて、うるさいし。ディレイが中途半端だし。

アラばかりが見え(聴こえ)てくる。

修正するほどに、どんどん悪くなってくるのは、本当にいろいろなクリエイティブに通じる。

足しちゃいけないと知りながら、聴こえてくる悪い部分に囚われて修正するほどに全体が見えなくなってくる。

正直、二日経って全然見えなくなってきたので、今回は無理矢理終わりにすべくアップ。

しばらく寝かせて修正することにして、二日の修行を終わりにしたいと思う。

それでも、音楽の世界は本当に答えがなくてむちゃくちゃ楽しい。

遥か遠くに見える世界中のクリエイターをリスペクトしながら、いろいろな音楽にインスパイアされて、その末端にいるだけで、探究心のエネルギーがわいてくる。

死ぬまで楽しめる世界です。

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